2013年6月28日金曜日

前置胎盤・低置胎盤とは

前置胎盤とは

通常、胎盤は子宮の上部に位置し、子宮口から離れた場所に胎盤が形成されます。この胎盤の位置が子宮口をふさぐ場所にできていることを前置胎盤といい、妊娠期間においても、出産時においても様々なリスクがついて回ります。
前置胎盤は、自覚症状があるものではなく、いきなり大量に出血するケースもあり母体の生命に危険が及ぶ場合もあります。また早産になってしまう場合も多く、母児双方にとってきわめてハイリスクな妊娠ということができます。

前置胎盤でも子宮口をどの程度ふさいでいるかによってよび方が三つに分けられ、またさまざまなリスク度合いも変わってくるようです。
  • 全前置胎盤とは
胎盤が子宮口を完全にふさぎ、通常のお産は無理で、帝王切開での出産になります。
  • 一部前置胎盤とは
胎盤が子宮口の一部をふさいでいる状態の事を指します。子宮口を塞いでいる範囲にもよりますが、母体・胎児の安全面などを考えると基本的には帝王切開での出産になるケースがほとんどになるみたいです。
  • 辺縁前置胎盤とは
胎盤の下縁が子宮口に少しかかっている状態のもの。 一部前置胎盤よりかは軽度の状態ではあるが、子宮口の近くということもあり、リスクは変わらず。 安全に出産するために、帝王切開での出産と判断されることがほとんどです。

低置胎盤とは



胎盤が子宮口にかかってはいないけれど、通常より低い(子宮口に近い)位置にあるものを低置胎盤といいます。前置胎盤よりかはましな症状といえますが、胎盤位置によっては同じようにリスクが伴う場合もあり、帝王切開によるお産になる可能性もあります。

 

前置胎盤・低置胎盤の診断時期


妊娠20週前後で初めて聞かされるかもしれませんが、この時期での診断はまだ不確定の要素が強いみたいです。ただし、前置胎盤・低置胎盤の診断は妊娠後期にならないと正確には分からないみたいです。といいますのも、早い段階で胎盤が下の方に位置していても子宮が大きくなるにつれて胎盤が上がっていく可能性が高いからです。

 

前置胎盤と診断されたとしても


妊娠30週以前に前置胎盤と診断された場合でも、実際に出産する時まで前置胎盤のままであるのは、5%に過ぎないみたいで、30週以前に診断されたとしても95%の人は治る可能性が高いということです。妊娠30週までに子宮下部がほぼ形成されるため妊娠30週以降に前置胎盤である場合は分娩時も前置胎盤である可能性が高く、注意が必要です。

前置胎盤の発生確率


 前置胎盤の頻度は1990年からのデータを見る限り、全体の1%以下です。妊娠時の年齢なども影響するみたいですが、統計上のデータではその他で帝王切開の経験者・人口流産の経験者が前置胎盤になる可能性は比較的高い数値を表しているみたいです。

 

前置胎盤になる原因


前置胎盤になる原因、つまりなぜ受精卵が子宮の下部に着床してしまうのか、ということについては明らかになっていません。

前置胎盤・低置胎盤のリスク


輸血が必要になるほどの大量出血の可能性


前置胎盤の危険性は、出産前は子宮収縮などにより、胎盤がはがれることで出血を起こすという点ですが、出産時にも他の出産に比べ危険な面があります。
前置胎盤による出血は、自覚するほどの子宮収縮(お腹の張り)がないうちに起こることが多く、痛みを感じることも少ないみたいで、妊娠中期までは無症状に経過し妊娠中期の後半以降になってはじめて出血することが多いです。
最初の出血自体はごく少量がでて収まりということを繰り返し、突然大量の出血を伴うことが多いみたいです。また分娩が近づいて、子宮が収縮したり(お腹が張る・陣痛)、子宮口が開いてくると、大量に出血してしまうことになり、一旦大量に出血すると止血しにくく、帝王切開によって分娩せざるをえなくなってしまいます。
子宮は出産し、胎盤がはがれるのを合図に収縮しますが収縮するというのは、単純に大きさが変わるだけではなく、組織が縮むことで胎盤が剥がれた後の傷がふさがるわけです。
より収縮度が高い奥の部分(子宮口付近ではなく)の方が出血は少なく済みますが、子宮口の近くはそれほど収縮しないために、なかなか出血が治まらない為大量出血する可能性があります。
また、同じ前置胎盤でも、胎盤の付き方で危険度がより増す場合があるみたいです。

癒着胎盤の併発の可能性


また、前置胎盤では癒着胎盤の危険性も高いみたいで、これは子宮下部は胎盤が発育するのに十分な環境が整っていないためで、前置胎盤と診断された方の癒着胎盤の可能性は5%~10%という報告もあります。(報告事例では高い目の数字かもしれません。1%以下というデータもあります。)

出血に伴う早産のリスク

 
管理入院が始まる週数にもよりますが、統計上入院してから2週間以内での帝王切開による出産が可能性が高く前置胎盤のみ破水や、出血がない場合では30週前後からの管理入院が必要になる可能性が高いみたいです。
下は前置胎盤と診断された方の週数による出産率です。
32週~33週での出産:10%
34週~35週での出産:15%
36週目での出産:10%
ほかの週数では10%以下での出産になっていますが、管理入院となってから2週間以内という統計の中で、24週目のみ違うデータとなっていました。
その内容は24週目などでの出血などの場合、約40%がその時点での出産を余儀なくされています
また、早産により未熟児として生まれてきた子供達は、NICU(新生児集中治療室)での治療が行われていく事になります。
 

前置胎盤・低置胎盤と診断されたら


妊娠中期に前置胎盤と診断されても妊娠後期までに胎盤の位置が変わり、正常と呼べる場所まで胎盤の位置が変わることも多く、前置胎盤による大量出血も妊娠30週以前では少ないということもあり、妊娠30週までは自宅安静で外来診察により定期的に超音波検査をするというのが一般的みたいですが、前置胎盤と診断されたら安静にし、出血を起こさないようにできる限り予定日の近くまで赤ちゃんをお腹に入れておけるようにすることが大切になります。

妊娠30週を過ぎても胎盤の位置が改善されず、前置胎盤である場合は母児の経過をみながら入院安静の必要性を判断することになります。 前置胎盤の場合はほとんどが帝王切開になります。

低置胎盤の場合は、その胎盤の位置によって経膣分娩が可能なケースもあるみたいで分娩時の状態に応じて判断することになります。
しかし既に出血してしまっている場合については、出血がそれほど大量でない場合は、投薬を試みながら胎児の成長を待ち、胎児のリスクを少しでも軽減できるような処置が行われていきます。
出血がないか、あっても少量のケースでは、安静にして妊娠37週(正期産)まで待機しその後はなるべく早く帝王切開術にて分娩するようにします。
基本的には出血の程度と胎児の状態ををみて対応しますが、母体の生死にかかわるような大出血がある場合には胎児の成長度合いにかかわらず帝王切開で分娩しなくてはなりません。

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